国際若手貢献者賞

国際若手貢献者賞(118元素賞)について

 国際純正・応用化学連合(IUPAC)と国際若手化学者ネットワーク(IYCN)の共同により、118名の優秀な若手化学者が厳選され、2019年夏パリで開催される記念式典にて118元素名の若手貢献賞が授与される事になりました。我が国からも多数の若手化学者の推薦がなされることが強く望まれます。この賞は、IYPT2019とIUPAC100の両者を祝う記念事業の一環とし、IUPACとIYCN(国際若手化学者ネットワーク)の共同により、現在、候補者の受付と選考が進められています。Periodic Table of Younger Chemistsがその呼称であり、直訳すると「若手化学者の周期表」などとなります。候補者の推薦受付は既に開始されており、2019年6月には選考過程を完了し、同年7月にはパリで開催される記念式典で授与式が行われる予定です。

 本賞はIUPACの掲げる目標の達成に貢献した者、国連の掲げる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals; SDGs)の達成に貢献した者、化学の重要性を世に広めることに貢献した者、化学産業の多様化に貢献した者、化学教育・広い意味での科学教育の発展に貢献した者、化学関連の境界領域研究の開拓や異分野融合の発展に貢献した者の中から厳選のうえ受賞者が選出されます。IUPACの達成目標には、優れた研究の推進に加え、国際社会における化学者間の対話強化、情報透明性の向上、化学の多様性と倫理観の向上などがある。SDGsには、飢餓、病気治療、水浄化、衛生問題、環境問題、エネルギー問題などの解決があります。化学を専攻する学部生、大学院生(高校生以下は除く)、化学を学び学士、修士、博士を取得した者、化学産業に従事する者が受賞対象となります。40歳までの若手が対象となります。自薦・他薦を問わず応募が可能です。関係する若手化学者の方々には是非ともチャレンジしていただきたいと思います。
 推薦書の提出期限は2018年の6月上旬を第一次選考の締め切りとし、13多段階に分けて設定されており、7月以降は毎月1日が応募期日となる。本稿が掲載される8月には、既に3段階目までの応募が締め切られ、Cu, Pb, Au, Ag, Fe, C, Sn, S, Hg, Zn, As, Sb, P, Co, Pt, Ni, Bi, Mg, H, O, N, Ba, Cl, Mnの全24元素への受賞者は概ね決定済みとなることが想定されています。既に、最初の8元素までの若手貢献者賞の受賞者が決定され、公表されています。以下にその具体的な内容について紹介いたします。

 

銅(Copper; Cu)に対する若手貢献賞は、カナダサスカチュワン大学化学科博士課程学生であるケリー・サマーズ(Kelly Summers)に贈られることが決定されました。サマーズさんは、シンクロトン放射光施設を用いて、アルツハイマー病治療薬が患者の脳内において、どのようにして銅イオンとの特異的な結合を形成するかを明らかにすることに成功しました。本銅賞はその功績を称え、同氏に授与される運びとなりました。

 

鉄(Iron; Fe)に対する若手貢献賞は、オーストララリアシドニー大学の准教授であるエリザベス・ニュー博士(Dr. Elizabeth New)に贈られる。 同氏の功績は、独自に開発した分子センサーによって細胞内における変化に鋭敏に感応する蛍光センサーの開発に成功した。ここで言う変化とは病気によって誘発される変化であり、人体が酸化的ストレスを受けた際に生じる変化を鋭敏に可視化することを可能にしました。同氏の開発した蛍光センサーはアルツハイマー患者の銅イオン保有量やがん患者が白金製剤を摂取する際に細胞内に如何なる変化を生じるかについても可視化できる点で注目を集めています。本賞はそうした同氏の功績を称え、授与されることになりました。

 

以下の各元素についても受賞者が決定しています。

 

今後さらに以下の元素について受賞者が選考されます。

 

我が国の若手化学者からも受賞者が選出されることを応援しています。お近くに適任者がおりましたらご推薦ください(自推による応募もお勧め下さい)。